水は新生子牛にとって重要かつ不可欠な栄養素です。獣医師はなぜ水がそれほど大切なのかを知っておく必要があります。そうすることで、酪農家たちに栄養素としての水がどのように機能するかを教えることが出来ます。多くの酪農家は、新生子牛は必要な水分を母乳から摂取していると信じ込んでいますが、これは間違いです。新鮮で、清潔で、高品質な水を新生子牛は必要としているのです。
ペンシルバニア州立大学の酪農科学者Dr.
Jud Heinrichsが子牛のための水管理と題して素晴らしい講義をしていました。その内容は、2006年2月に発行されたProfessional
Dairy Producers of Wisconsinの年次ビジネス会議版に掲載されています。
子牛には毎日水を与えなくてはなりません。それは一体何故なのでしょうか。
子牛の体重の70〜75%が水で構成されています。水は必須栄養素です。水はすべての必須栄養素の中で最も安い栄養素ですが、毎日の必要量は他のいかなる栄養素より最も多く必要とされるものなのです。水が各栄養素を体の隅々まで運び、様々な代謝過程に様々な形で関っています。水は体温を一定に保ち、不要な物を排泄し、脱水症を防いでくれます。
子牛を育てる上で最も重要視すべきことは、できる限り早期に反芻胃を機能させることです。水はルーメン中の微生物叢の形成にも必要です。これらの微生物が増殖し成長しなければ、スターターを発酵させることもできません。スターターの発酵で揮発性脂肪酸(VFA)が生成されます。VFAは代謝されてエネルギーの源になる物ですから、VFAの生成と吸収が非常に重要なのです。水はこのVFAの生成と吸収にも不可欠な物なのです。子牛がルーメンを機能させるための基礎が水であると言えるのです。
Dr. Heinrichによると、子牛は生まれたときはルーメン内に一切の細菌がいないそうです。ルーメン細菌の数と種類は乾物飼料の摂取が始まると変化していきます。成牛のルーメン内に見られる標準的なミクロフローラは、乾物飼料の摂取を始めてから2週間で形成されます。ルーメン細菌はルーメン構造の発達に影響し、胃壁を厚く、また、ルーメン乳頭を長く成長させます。VFAの一つである酪酸はルーメン壁にエネルギーを供給することによりルーメン乳頭の成長を刺激すると考えられています。粗飼料を与えて起こるものではないのです。こういうわけで、水とスターターがルーメン細菌の発達に必要といえるのです。
水はどのように第四胃ではなく第一胃に入れたらよいのでしょうか。子牛がミルクをバケツから飲んだり乳を飲んだりする際に食道溝が閉じるということはご存知だと思います。ですから、ミルクはルーメンを通過して直接第四胃へ送られることになります。Dr.
Heinrichsは5ヶ月齢まで食道溝は機能していると言っています。食道溝は餌を見たり、餌の音を聞いたりすると閉じます。ミルク、および人工乳は第四胃に直接入ることが研究により示されています。一方、水はルーメンに直接入ります。ルーメン内の水は液体飼料中に含まれる物ではなく、子牛が自分で飲んだ水です。Dr.
Heinrichsは水は水分であり、ミルクは飼料だとしています。つまり、液体飼料は水の代わりにはならないのです。子牛は喉が渇いてバケツから水を飲みますが、その時に水が胃内に入ります。ですから、酪農家は子牛が生まれたその時から、子牛がいつでも水を飲めるようにしておかなくてはいけないのです。残念なことに、このアドバイスに従う酪農家はあまりいません。離乳間際まで液体飼料以外から水分を摂取できない子牛もいます。このような状況下ではルーメンの発達が妨げられ、離乳した際に下痢を起こす可能性が大きくなります。
News
Letter from Dr. Whitmore, 2007年04月 No.1-1